下山は、苛立っていた。

「教え子である明石さんが以前、"波乗り投資法"に対して疑いの目を持っていた」

その過去のエピソードを明石さんと改めて話し、心中穏やかではなかった。



「"波乗り投資法"を信じない人間はやるな!」という下山の持論に反して

明石さんは「こんな手法で本当に勝てるのだろうか?」と

疑いながら"波乗り投資法"を使ってトレードを始めた。



その事実を思い出しながら下山は苛立っていた。


STORY 17

"波乗り投資法"を疑い続けた男性が『7ヶ月で利益率22%』を達成して気づいた"投資の原理原則"

INTRODUCTION

そしてそんな折、土屋が単刀直入に聞いた。
「それだけ疑いながら取引をして、実際稼げたのか?」
「稼げたとしたらどの程度の利益を獲得したのか?」

今まさにその真実の数字を、明石さんが明かそうとしていた。

3人が座るテーブルに、前菜のサラダが運ばれてきていた。
しかし、下山が緊迫した空気を作り出していたため、誰もそのサラダに手をつけようとしなかった。



土屋さん、焦りすぎですって(苦笑)
利益の話は後でじっくりましょうよ。


苛立ち気味の下山の声が、その場の空気をさらに重くする。



ええやないか、先に利益額聞いとったら話早いやろ!


いやいや、その前に聞いてほしいことがあるんですよ。


そうか・・・


そう焦らなくても明石さんが勝っていることは間違いありませんので。
ねえ明石さん?
勝ってますよね?


はい、勝ってます。


ほら、勝ってるのは間違い無いんで、利益額は後で落ち着いて聞きましょう。
ガツガツ利益聞くなんて品が無いですよ。


なんやねんえらそうに(笑)
まあええわ、分かった、分かった、ほんなら利益額聞くん後にするわ。

じゃあ、これなら聞いてええか?
明石さんはご自身で、なんで勝てたんやと分析されてはります?
なにか特別なセンス、才能があったとか?


いや、特別センスとか才能があったわけじゃないですね。


じゃあ、実はめっちゃ頭がいいとか?


それも無いですね。
普通か、もしくは普通以下じゃないですか。


ほんなら何で勝てたんやろか?


ん~、利益を出せているのは、単純にこの手法が、"負けない手法"だからじゃないでしょうか?


ほう、それは興味深い。
負けなければ勝てるっちゅうことですか?


そうですね、ルールさえ守れば基本的には誰がやっても負けない手法だと思います。


なるほどな。
でも今でこそ、そう思ってはるけど、取り組む前は疑ってはったんですよね?
こんなんでほんまに勝てるんやろか?って。

ちょっと話戻りますけど最初疑ってたのに、なんで最終的には下山トレーダーの手法でやってみようと思わはったんですか?


自分を変えたいと思ったんですよね。


どんなふうに?


どんなふうにというか、このままいくとジリ貧だなと感じたんです。


なるほど。
その気持ち、よお分かりまっせ。
私も大阪にいた頃はなんとか自分を変えたくて必死でしたわ。

でもまさにピンチはチャンスですな。
明石さんも、ジリ貧になるかもしれんっちゅう焦りがあったからこそ下山トレーダーの手法でトレードを始めることになって、ほんで最終的には"経済的な安定"を手に入れはったんやから。


そうですね。
今、悪い状況にある人にお伝えしたいですね。
悪い状況だからこそ大きく飛躍できるチャンスがあるって。


おお、自信に満ち溢れたその感じがええですなあ。
人生なんていくらでも逆転可能ですからな。


そうですね。
しかも下山さんのこの手法って、期間限定で稼げるというような手法では無いんですよね。
なので、これからも利益を獲得できることが目に見えていますし、すでにお金の心配がほぼ消えたと言っても過言ではないです。


それ相当なことですやん!
いやー、すばらしい。

ほんじゃあ明石さんのだいたいの経歴はつかめてきたのでそろそろ・・・お待ちかねの利益額の発表といきましょうかね。
もうええやろ、しもちゃん?


お待ちかねなのは土屋さんだけですけどね・・・。
まあいいんじゃないでしょうか。


おっしゃ、ほんなら明石さん、これまでにいくら稼いだか、その利益額教えてもらえますか?
えっとまずは元本の金額から知りたいんですが・・・


はい、元金100万円でトレードを始めました。


うんうん。
あっ、ちなみに下山トレーダーの手法でトレードを始めてから、今でどれくらいの期間経ってます?


7ヶ月ちょっとくらいですかね。


オッケーです。
ほんじゃあ7ヶ月ちょいの間に利益は・・・


えっと、22万円くらいのプラスです。


おっ!
7ヶ月で22万っちゅうことは、このままいくと年利は40%近くになりそうな感じですな!


それくらい、いきそうな感じですね。


まあ、そこまですごい結果では無いですけどね。


なんやねん、しもちゃん急に(笑)
立派な実績やんけ!
話の腰を折るなや。


いや、勘違いしないでください。
"波乗り投資法"を使っているにしては利益率が少ないと言っているだけです。

一般の株トレード経験者から言わせると、"これって本当に初心者の明石さんがトレードしてんのか?"って疑うレベルの実績ですよ。

プロのファンドマネージャーでもここまでの利益率を出せる人はいない、ってことはよく言われますし。


せやろなあ。
おれも世間様の基準くらいは知っとるから、この実績がどえらいもんやっちゅうことは、よお分かるで!!
波乗りはさすがやわ。

ただ・・・やっぱ口だけやったら何でも言えてまうからな。
証拠が欲しいんやけど・・・


はい来た!
いい加減、人を信じることを覚えて欲しいんですけどね・・・。

申し訳ないです、明石さん。
この土屋という男、疑い深いゆえに証拠を見せつけてやってくれませんか?


はい、全然良いですよ。


本当にお手数おかけします。
そしたらこのパソコン使ってください。


そう言いながら、下山は土屋から事前に受け取っていたブラックのノートパソコンを明石さんの前に出した。



土屋さん、明石さんが快くOKしてくださいましたよ。
感謝してくださいね。


ていうか、なんやねん?
利益を見せつけるっちゅう言い方は無いやろ(笑)


はいはい。
それじゃ明石さん、お手数ですが証券会社の口座にログインしてもらえますか?


了解しました。


そう言って明石さんはスムーズに証券会社のサイトを開き、ログインをした。
そして履歴のページを開き、2人に見せた。

その画面には、確かに『222,531円』という利益が表示されていた。



見てくださいよ、土屋さん!
間違いなく22万円の利益でしょ?


おお、せやなあ!
これでさすがのおれも納得やわ。
22万を7ヶ月で達成っちゅうのは、さすがの一言やわ。


ついでに言うと時間も手間も、そんなにかかってませんよね?


そうですね、空いた時間に1~2分とかですね。
他に本業の仕事があるので、もし他の手法でトレードしてたら、銘柄探したり、テクニカル分析をしたりで、時間がかかりすぎて途中で挫折してますね。


もしかして、仕事の合間にトレードされてはるんですか?


そうですね、トイレに行く時とか、ちょっとした移動の時とか、会社の休み時間にやったりします。


あっでも、仕事中にトレードといえば・・・、最初の頃、自分と明石さんがそのことについて話し合ったのって覚えてます?


えっ、何のことですか?


おうおう、また、しもちゃんは過去を掘り返そうとする(笑)
今度は何言い出すんや?
あんまり絡んだらあかんで、ほんまに。


いや、自分が最初に明石さんと会った時に、"仕事が忙しい"って言われたんで、"仕事の休み時間にちょっとやるだけでも大丈夫ですよ"って答えたんですよ。
そしたら"投資を舐めてるんですか?"みたいなことを返されて・・・(苦笑)


あぁ、それは申し訳ないです。
つい・・・(苦笑)
だって普通信じられないでしょ?


まあまあ、しもちゃん。
許したれや。
根に持つ男は嫌われるで。


まあ昔の話なんでいいんですけどね・・・。


でも、今はもう休み時間にトレードするだけで利益が出るってこと、嫌というほど日々実感させられています。


それだけ利益出してはったら、そりゃそうなりますわな。


そうですね。


明石さんは、少し気まずそうに、しかし嬉しそうに返事をした。
そしてようやく話がひと段落して土屋がサラダを食べ始めた。
つられて2人もサラダを食べた。



そういや、今の"投資舐めてんのか"って話、明石さん以外にも言われることがあるんですよね。
それも結構な頻度で。
でも自分からしたら、"株価が上がるぞ"とか、"下がるぞ"とか考えるトレーダーこそ、トレード舐めてんのか!って思いますね。
自分の思い通りに相場が動くとでも思ってるのか!?って。


今ならその気持ち分かります。


ですよね?

大半のトレーダーって、自分の資金の範囲内で買える銘柄を見つけて、その中からこれから株価が上がりそうな銘柄を選んで買うわけですよ。

もちろん、たまにはその思惑が当たって利益が出ることもあるでしょうね。
でもそんな思惑、当たり続けるわけないんです。
絶対いつか外れるんですよ。

だから、そんなギャンブルみたいなこと続けてどうするんだって思います。


なんか今日は熱量が半端無いやないか、しもちゃん。


確かに下山さんの言うこと分かります。
予測が当たり続けるわけないですし、そもそもたくさんの銘柄をいちいち調べるのも本当に手間ですよね。
だったら1銘柄に絞ってトレードしたほうが銘柄を選ぶ手間も時間もかからないし、その銘柄の癖も分かるし、一石二鳥、いや三鳥くらいのメリットがあると思います。


なるほどなあ。
ちなみに明石さんって株に詳しいですか?
色々投資用語とかありますけど、そういうのも勉強しはったんですか?


いや、全く詳しくないです。
特に勉強もしてないですし。


土屋さん、多分前にも話しましたが、株に詳しければ稼げるってわけじゃないんですよ。


そうですよ、土屋さん。


なんや、明石さんも調子ノッてきたやないか(笑)


すみません(笑)
でも実は私、偉そうに言いましたけど、始める前は色々と心配だったんです。
やっぱり用語とか知らないといけないんじゃないか、とか・・・

でも実際にトレードして気づきました。
用語とか知ってても全く意味が無いってことに。


それ、しもちゃんも前に言っとったけど、株で勝つために株の勉強ってやっぱ必要無いんやなあ。


あっ、でも明石さん1つ気をつけてくださいね。
投資初心者の方が最初からあまりにもラクラク利益を出してしまうと、"株ってこんな簡単に利益出るんだ!"と思って他の手法とかに手を広げてしまうことがあるんですよね。
今回明石さんはラクラク20%の利益率出されていますけど、この手法を使っているからこそ出た利益なので、株=簡単というように勘違いなさらないように。


はい、大丈夫です!
他の手法も実際見たことありますけど、私の場合、他の手法に惹かれたりってことは無いですから。
むしろ、そんなんじゃ稼げないだろうなあって思ったりしてます。
なのでその点は大丈夫です!


ここにきて、ようやく全員がサラダを食べ終えた。
そしてお皿が片付けられ、早々にメインの肉料理が運ばれてきた。



ちなみに明石さん、あえて聞きたいんですがこの手法の欠点って何だと思いますか?


欠点ですか・・・そうですね、人によってはつまらないかもしれない、という点でしょうか・・・


なんでですか?


下山さんの手法って、予想が当たった、外れたという世界ではないので、予想が当たった時の喜びとかそういうものって無いんですよね。
ただ淡々とトレードして、お金を増やす作業をしている感覚なので。


ギャンブル好きにはちょっとつまらん手法っちゅうことですな。


まあ確かにギャンブル好きには嫌われる手法でしょうね。


でも私はお金が増えればいいやと思ってトレードしてるんで、私にとってはどうでもいい話なんですけどね。


その姿勢、良いと思います。
そもそもトレードって予想を当てるためにやるわけではなく、お金を増やすためにやるものですからね。


なるほど・・・ちょっと見えてきたもんがあるで。


土屋さん、物分かりが良くなりましたね(笑)
こういう話していると、ちょっと前の土屋さんだったら、"なんでやねん!"って絡んできてた気がします。


当たり前や。
日々秒速で進化しとるからな!


はいはい。

でも土屋さんはようやく理解できて良かったんですけど、世の中を見渡すと、このことを理解できていない人が大多数なんですよね。
予測の精度を上げることに精を出して、そして結局負けていくんです。


確かにそうですね。
私も理解するまでに時間がかかりました・・・でもそれが理解できるようになってから本当に利益が伸び始めて、今はもう年金がどうなろうと老後の心配が一切無い、という状態になりましたね。


そうですよね、老後の心配なんかする必要なくなるはずです。

あっ、でももう一つ注意してほしいことがあるので一応伝えておきますね。
多分勝てるようになると、元金を増やして利益を一気に増やしたくなると思うんですが・・・それはあまりお勧めしません。

金額が大きくなると余分な心配が増えてメンタル的にちょっときつくなるんで。
元金を増やさなくても、複利で運用するだけでそれなりに資金は増えていくと思うんです。


ああ、確かにこの手法って含み損を抱える手法なので・・・金額が大きくなると精神的にきつくなることはありそうですね。

正直言って、最初の頃は気が気ではなかった時もありましたし・・・と言っても相殺決済を使えば含み損が解消されていくので、私の場合それが分かってからは含み損を恐れることもそれほど無くなりましたが。


明石さんみたいに、相殺決済を十分理解されている状態であれば問題無いかもしれませんね。
波乗り投資法の経験値があって、自信もお持ちでしょうから。


そうですね、経験してしまえば何てことはないと思います。
ルールさえ守っていれば負けることもないし、破産することなんてあり得ないってことが分かり自信が生まれました。

なので多少動く金額が増えたとしても問題無いと思います。
とはいえ急激に資金を増やすのは、やはり良くないのかもしれませんが。


あっそうだ、破産で思い出しましたけど、この手法について話すと、"信用取引でトレードすると借金背負って破産するんじゃないですか!?"とか質問されるんですよね。
明石さんは、その点についてどう思いますか?


繰り返しになりますが、破産なんてまずあり得ないですよね。


ですよね。
いや、まあ分からなくはないんですよ、不安になる気持ちも。

でもよく理解して欲しいです。
この手法を普通に使ってたら、最悪の場合でも元本がゼロになることすら無いのに、破産なんてしようがないってことは、少し試せば誰でも分かると思うんで。

それでもやっぱり不安なら、はっきり言って、やらなければいいって思うんです。やってくださいお願いします、なんて一言も言ってませんし。

この際だから言いますけど、こんな手法で稼げるの!?っていう人をなんで稼がせなきゃいけないんだって思います。


ちゅうことは、しもちゃんはおれに対してもそんなふうに思ってるんか?


思ってますよ。


おいおいおい、正直すぎるやろ(笑)
しもちゃんよお、おれは疑問に思ったことを素直に質問しとるだけやないか。


あっそれで言うと、私も散々つっかかりましたからね・・・私のことも面倒だと思ってたんじゃないですか?


明石さんに色々言われたときは正直面倒だと思いました。
でもまあ明石さんは最終的に信じてくれたんで良かったですけど。
土屋さんは・・・今後の態度次第です。


おいおい、今さらそれはないやろー!
教えてくれやー!
いや、教えてください、下山さん!

・・・いや、やっぱええわ。
もししもちゃんが教えてくれへんのやったら明石先生に教えてもらうわ。


明石さん、絶対教えちゃだめですよ。


土屋さん、すみません。
先生がこう言ってるんで・・・。


おいおい、なんやねんこの連携プレーは。
どんだけ厚い信頼関係やねん!


稼がせてもらったんで。
そして人生変えてもらったと思ってるんで。
土屋さん、ごめんなさい(笑)


・・・しゃーない、今後は少し自粛しよう!


いい心がけだ(笑)


なんか腹立つわー・・・。


ていうか土屋さん、気は済みましたか?
もうそろそろ株の話は終わりにしませんか?
堅い話ばかりで疲れましたよ。

適当な話しませんか?
料理も食べましょう。


おう、分かった分かった!
もう聞きたいことは十分聞けたで。
ていうか今日はしもちゃんが喋りすぎな気もするけど・・・まあええわ。


ああ、今日はちょっと熱くなってしまったかもしれないですね。


その後3人は雑談を交えながら、肉料理を堪能した。
そして時はあっという間に過ぎ、食事会を兼ねたインタビューは終盤を迎えた。




明石さん、本当に今日はこのわがまま男、土屋のためにわざわざお越しいただきありがとうございました。


やかましいわ(笑)
いや、でも本当に今日はありがとうございました。


いえいえ、私も楽しかったですよ。
下山さんにも会えたし良かったです。


土屋さんにも会えて良かったですか?


あ、はい。
良かったですよ。


大事な教え子に、そういう面倒なこと言わせるのやめてください(笑)


明石さんへのインタビューは、最初こそギスギスした雰囲気が流れていたが、和やかな雰囲気のままに終了した。
土屋はインタビューを重ねるごとに着実に学びを得ていた。



しもちゃん、やっぱインタビューええわあ。
実際に利益を獲得してる人の話ほど役立つもんはあらへんな。


それは良かった。
じゃあ今日はもう1件、この後にインタビューをお願いしている人がいるので。


ほんまか!?
ええわー、しもちゃんさすが!
できる男はちゃうな!


気持ち悪いんで、褒めるのやめてください(苦笑)


次のインタビューは夕方から六本木の老舗カフェで行われた。
下山と土屋は約束の15分前からスタンバイをして店内で待機していた。

そして16時を2分ほど回った頃、1人の男性が現れた。


長瀬さん!
こっちです!


下山がその男性に向かって声をかけた。



あっ、どうも。


すみません、わざわざお越しいただいて。
本日はよろしくお願い致します。


いえいえ、こちらこそよろしくお願い致します。


本当はね、美味しいものでも食べながらと思ったんですが、ご飯どきの時間がちょうどお忙しいということで。
でもここの店、ケーキとか美味しいんで良かったら遠慮せずに食べてくださいね。


いえいえ、お気遣いなく。


どうも、初めまして。
土屋と申します。
本日はお忙しい中ありがとうございます。
よろしくお願い致します。


土屋は長瀬さんに手を差し出し、握手を求めた。



あっ、長瀬と申します。
こちらこそよろしくお願い致します。


長瀬さんもそれに応えて、固い握手を交わした。



長瀬さん、何頼まれますか?


えっと、じゃあ普通にコーヒーでお願いします。


下山は店員を呼び注文をした。
店内は少し薄暗い照明で、禁煙席にもタバコの臭いが少し充満していた。

店内には退屈そうにスマホを操作している若い女性や、商談をしているサラリーマンなど、様々な人間がいたが、程よく客が入っている状態で、話しやすい雰囲気だった。



あ!


不意に長瀬さんが、小さく驚いた声を出した。



どうしました?


土屋さんってフェラーリ乗ってるんですか?


えっ、なんで分かったんですか?


いや、すみません。
全然見る気は無かったんですが、バッグの隙間から一瞬フェラーリの鍵が見えたんで。


あっ、ほんまですか?
気をつけなあかんな。
いや、まあそうです、こんな私でもフェラーリですわ。


そんなこと言って、本当は見せびらかしたかったんじゃないですか(笑)?


あほか、おれはそんな程度の低い男ちゃうわ。


ていうことは、土屋さんも株でたっぷり儲けてる感じですか?


いや、私はまだ投資は始めてないんです。
今、下山トレーダーに教わっているところで本番トレードはこれからですわ。

ほんで今日は下山トレーダーにお願いして、実際に稼いでいる方に話を聞きたいっちゅうことで、インタビューさせて頂きたくお越しいただいたわけです。

下山トレーダーの手法って非常識でしょ?
だからどうしても下山トレーダーの手法で利益を獲得されている方の話を聞いておきたかったんです。


なるほど、了解しました。
ちなみに土屋さんは株以外の何か他のビジネスで儲けているということですか?


そうですね。


そうですか。
ビジネスできる人は憧れますね。


いやいや、長瀬さんだって株で稼いでいるって聞いてますよ?


まあそうですけど。
でも下山トレーダーあってのことですからね。


いやいや、にしてもですよ。
私からしたら投資で勝っている人の方がリスペクトです。
ちなみに投資歴は長いんですか?


土屋がちょうど本題に入ろうとした時、長瀬さんが注文したコーヒーが運ばれてきたが、長瀬さんは店員の女性に軽く会釈をして気にせず話し続けた。




そうですね、バブル崩壊後からスタートしたので、もうかれこれ20年くらいになりますかね。


ほうー、20年ですか。
もうベテランの域ですな。
株式投資ですか?


はい、やっていたのは株式投資だけで、普通に現物株だけですね。


でも確か、"波乗り投資法"を使う前から、もともと利益を出されていたんですよね?


下山がふと思い出したように口を挟んだ。



そうですね、ちょうど私が株式投資を始めたその頃がバブル崩壊後真っ只中で、本屋でたまたま"ボロ株を買え"みたいな本を見つけたんです。


興味深い。


で、その本に納得して、全財産の100万円くらいをつぎ込んで、"建設株"を買ったんです。
たしか1株あたり50円くらいだったと思いますが。


全財産ですか(笑)
勝負師ですなあ。
好きですわ、そういう人。


そしたら、その建設株が急激に上がり始めたんです。
で50%くらい上がった時に売ったんです。
つまり100万円が150万円になったということなんですが。


めっちゃ夢のある話やないすか。
うんうん、ほんでほんで?


テンション上がりすぎですよ(笑)


当時の私も、今の土屋さんみたいに興奮したんです!
これはヤバいぞと。

で、その後も調子に乗って現物株で勝負しまくってたんですけど・・・やはりこれが思うようになかなか勝てずで・・・。


おお、まだまだ夢を見させて欲しかった・・・


でも、そうは言っても私は運が良かったんだと思います。
バブル崩壊後、しばらくは上昇相場が続いてて押し目買いのチャンスがある銘柄がけっこうありまして。
最初ほどのラッキーは無かったんですけど、それなりには勝てていたんです。


なるほどな。
やっぱ運とタイミングってめっちゃ大事ですよね。
ビジネスでも同じですわ。

流行りの稼ぎ方に乗っかておけばそれだけで稼げてまう事例なんて腐るほどありますし。
そういうのに出会えたら勝ちですよね。


そうなんです。
でもやっぱそういうのっていつか必ず終焉を迎えるというか・・・。
良い時期は必ず去りますので、結局勝ち続けることは難しいんですよね。

実際にリーマンショックの時には、かなりの損失を出してしまいまして・・・。


ああ、まさに肝はそこなんやな。
やっぱり世の中そう甘くなくて、ビジネスの世界でも期限付きの稼ぎ方ばっかですわ。
次々と新しい稼ぎ方が出てきては消えていくっちゅう感じで。

投資の世界でもそれは同じなんやなあ。
ちなみに投資の勉強はけっこうされましたか?


はい、かなり勉強しました。
"うねり取り"とか"三点チャージ投資法"とか・・・


うねり取りは聞いたことあるけど、三点なんちゃらは聞いたことありませんなあ。
有名な手法でっか?


当時は、三点チャージ法の本がバカ売れしてましたね。
簡単に言うと、3つくらいの指標を見て、ある条件をクリアしてたら"買い"という手法です。


ほう、それは初耳や。
テクニカル分析っちゅうやつですな?


そうですね。
でも結局それほど勝てなかったんです。


ほんで下山先生の登場っちゅうわけですな!


はい。


どうでした?
利益出ました?


またそうやって利益利益って・・・すみませんねえ、現金な男でして。


いやいや、しもちゃん勘違いしてへんか?
今日はそういう話をしにきてもらったんやろ?


そうですが、聞き方もあるでしょ。
単刀直入すぎるんですよ、土屋さんは。


あっ、しもちゃんもしかして、自信ないんか?
長瀬さんが意外と稼いでなかったらどないしよ、とか心配しとるとか?


それは長瀬さんに失礼でしょ!
無いです、無いです。
長瀬さんは間違いなく稼いでます。
ねえ長瀬さん?


正直に言うと、最初は教えられた通りにできてなかったんです。
最初の3ヶ月くらいはけっこうグダグダでしたね。
相場が上がったら売れば良い、相場が下がったら買えば良いって感じでやっていまして(笑)
こんなんで大丈夫なのか?
と半信半疑でした。


ほらー!
ちょっとリアルな話が出てきたで!


あ、でもマイナスになったりとかはしてませんでしたし、常に毎月プラスにはなっていました。
慣れてくるに従って、プラス幅も広がってきましたし。


土屋さん、聞きました?
適当にトレードしてしまっても利益が出てしまう、それがこの手法なんですよ。


・・・。
実際、月にどれくらいの利益を出してはったんですか?


月に10万円とか20万円とか利益が出始めましたね。


すごいやん、長瀬さん!!
あっ、でももしかしたら20年間の経験があったからこその利益でっか?


いや、それは関係無いと思いますよ。
難しい手法じゃないですし、もし私が初心者だったとしても同じくらい利益は出ていたはずです。


実際にトレードしてて、難しいなって思うこともありませんでしたか?


はい、基本的には無かったですね。
強いて言うと、相場が暴落しているときに、これだけ下げたんだからそろそろ上がってくるだろうと思って、早めに買ってしまうとか・・・

気持ちのコントロールが難しいと感じることは時々ありましたが。
それ以外には特別難しいということはありませんでしたね。


オッケーです。
ほんならそろそろお待ちかねのトータルの利益・・・


はあ、長瀬さん、すみませんね。
長瀬さんのことを疑っているわけでもないですし、別にこんな必要もないと思うんですが、長瀬さんが稼がれた利益をこの男に教えてやってくれませんか?


了解です。
もともと下山さんから口座を見せて欲しいとも言われていましたので大丈夫ですよ。


長瀬さん、えらいスンマヘン。
ちなみに長瀬さんは元金いくらで始められはったんですか?


下山さんに手法を教わって、トレードを始めたときの口座残高は450万円でした。


なるほど。
ほんでそっから取引されて・・・